一年の中でも、もっとも、劇的に新しい季節が訪れたな、と感じられるのが、春なのではないかな、と思う。
春一番が吹き荒れたかと思うととたんに、その前日までの頬を指すような北風から、柔らかく髪をなでるような優しい春風に変わり、待ち行く人々も、重く暗いオーバーコートから白やベージュの軽やかな服装に変わり、その表情もなぜかうきうきしているように見える。
花もどんどん蕾を膨らませ、我先にと言わんばかりに開いていき、見上げると、少し青が強く高くなった空に、新緑の葉が、茂って木陰を作っていく。
原色の鮮やかな果物たちが、果物屋の軒先を埋め尽くし、そのみずみずしいつやのある美しい姿を惜しげもなく披露している。
最近ではテクノロジーや、運搬技術が発達し、一年中望めば、どんな季節の果物や野菜も手に入れることが出来るようになったのだけれど、やはりオンシーズンのそれらは、比べ物にならないほどにすばらしい。
こんなにも甘く酸っぱさとの調和の取れたイチゴは、旬のものだからこそ。そのイチゴを贅沢に使い、バターミルクスコーンとのショートケーキを提供させていただくことにした。
イチゴは、生のものを、さっと、イチゴと白ワイン、さまざまなスパイスで煮込み、エッセンスを凝縮したシロップにくぐらせ、胡椒を効かせたフロマージュブランのソースの上に置いたバターミルクのスコーンで、アイスクリームとソルベと一緒にサンド。周りには、見た目も鮮やかな、バジルのソースを色彩、味のアクセントとしてめぐらせた。
心も、体もなんだかふっと軽やかになった春を、さわやかなこの一皿で表現できていれば、と、思う。